■目覚め

「ん…、ふぁあぁ……。」 まだ少し肌寒い朝、私はむくりとベッドから起きあがる。
おぼつかない足で手洗い場へと向かい、冷たい水で顔を洗う。

「ご飯作るの…、めんどくさいなぁ……。」 跳ねた髪を洗って整え、歯を磨きながら考える。
今日うちのお店は定休日、だけど隣町に行って素材を買わないと、もう在庫がない。
……どうせ出かけるなら、外でご飯を食べるのもいいかな。

「ぶぇっ…ぺっ…、……よしっ。」 うがいした水を吐き、考えもまとまった。
隣町のご飯も美味しいけど、イエナちゃんに作ってもらおう。……安いし。
身支度を整えた私は薄暗い中、宿屋へと足を運んだ。



「いらっしゃいませ〜〜〜♪あっ!ヤコちゃん♪おはよーー!」 元気な声が店内に響きわたる、
このだだっぴろい宿屋(6組が泊まれるほどの)を、たった一人で経営しているイエナちゃんだ。

「おはよー。」 カウンターで挨拶をかわし、どのメニューにしようか少し頭をひねる、
お肉料理もおいしいそうだが重たそう…、朝はサッパリ目に食べたい。
魚料理がいいかな…?ほら、身体にもストレスにも良さそうだし。

今日のお魚定食とホットティーを注文すると、
イエナちゃんはぴゃぴゃっと調理場へと向かい、先に飲み物を持ってきてくれた。
コトリ…。と、テーブルの上に温かいお茶が置かれる。

私はイスに腰を掛け、のどを潤し身体を温めながら、朝のひと時を楽しむ。
焼き魚かな…?茹でても美味しいよね?何が出てくるかしら…♪
窓を眺めると朝の光が徐々にあらわれ始めた。




■旅路

「さて…と、そろそろ出発しなきゃ。ごちそうさま♪」
焼き魚定食をたいらげてイエナちゃんにお礼を言うと、私は村を出て東へと歩き出した。

村の外は凶悪なモンスターが出るらしいが、今歩いている道であれば遭遇することはない為、
私のような一般人でも護衛がいなくて大丈夫だ。
まぁ…、野党のようなものに襲われる可能性はあるかもしれないが、
そんなことを気にしていたら、村から出られないしね。

ひたすら東に歩き続けると、東の時計塔にたどり着いた。
綺麗な女神像と一緒に、今の時間を確認できる時計が建てられおり、兵士さんがこの場所を守っている。
今の時間は7時くらいになるか、歩きっぱなしだったので少し休憩をしてから、
今度は南に向かって歩き始めた。

今回目指すのはヴィースという街は広く、どんなものも一通り揃う、
またカジノも複数店あり、夜にはとても賑わっているらしい。
うちの村で武器屋を経営している幼馴染のマーシャは、ちょくちょく通っているらしいが、
ギャンブルなんてお金を損するだけなのに何が楽しいのか…、
そうこう考えているうちに、大きな建物が並ぶヴィースの街へとたどり着いた。















Next…

Created by 3c9